社会保険労務士事務所
労務オフィスやまもと
障害年金の基礎知識
~ 障害年金は請求しなければもらえません。 あなたにも権利があるかも (一般の方へ) ~
病気やケガが原因で障害が残り、仕事や日常生活に支障をきたし、十分な所得が得られなくなることがあります。障害年金は、このような所得の減少を補うものであり、本人やその家族の生活を守る制度の一つです。ところが、一般の方が障害年金について学ぶ機会はほとんどありません。単純に障害という言葉のイメージだけで判断しないで下さい。そのことにより、障害年金の受給を逃している方も多くいます。
ここでは、障害年金の基礎となる情報をお教えします。
■障害年金とは
日本の年金制度においては、国民年金からはすべての国民に共通する基礎年金が支給され、厚生年金からは基礎年金に上乗せする報酬比例の年金が支給されます。
障害に関する年金は障害基礎年金と障害厚生年金と呼ばれ、1級と2級の障害厚生年金受給者には同級の障害基礎年金が支給されます。また厚生年金独自の給付として、障害の程度が軽い3級の障害厚生年金と、更に障害の程度が軽い場合に一時金で支給する障害手当金があります。
■用語説明
初診日
障害の原因となった病気やケガ(以下傷病という)に対して初めて診療を受けた日
障害認定日
初診日から1年6ヶ月経過した日又はその期間内で傷病が治った日
保険料納付要件(①又は②を満足すること)
①初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金の
被保険者期間を含む)と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること
②初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に、保険料の未納期間がないこと
障害等級表
障害の程度において、1級、2級、3級、障害手当金の等級に分類され、障害年金を認定する基準となる表
■受給資格
以下の要件を満たせば、障害年金の受給資格があります。
①初診日に被保険者であること
②保険料納付要件を満足していること
③障害認定日に障害等級表の1級、2級、3級のいずれかに該当していること
(障害認定日に障害の状態が軽い場合でも、その後悪化した場合に障害年金を受けられることがあります。)
初診日が20歳前であり厚生年金の被保険者でない場合、保険料納付要件は問われません。また、障害認定日が20歳前となる場合には、20歳の誕生日の前日に障害等級表の1級、2級のいずれかに該当していることが要件となります。
■年金額
子の加算額は、 第1子・第2子 各224,500円
第3子以降 各74,800円
配偶者の加給年金額は、224,500円
報酬比例の年金額については省略(最低でも被保険者期間300月分を保障)
■障害等級
障害等級表は国民年金法施行令別表又は厚生年金保険施行令別表で規定されていますが、目安は以下の通りです。
■どんな傷病が障害年金の対象になるのか?
眼や耳、手足などが不自由といった外部疾患だけでなく、心臓病、肝臓病、腎臓病、糖尿病、高血圧、呼吸器疾患、癌(ガン)などの内部疾患や精神病などあらゆる傷病が請求の対象となってきます。
■請求手続の流れ
①受給資格の確認
・自ら障害等級を判断することは難しいです。まずは甘めに考えましょう。
②年金事務所に行く
・保険料納付状況を確認してもらいましょう。
・申請に必要な書類をもらいましょう。
・添付資料について、よく確認しておきましょう。
③受診状況等証明書の作成を医師に依頼
・初診日となった医療機関に出向き、医師に証明書を作成してもらいましょう。
④診断書の作成を医師に依頼
・障害認定日の3ヶ月以内の症状を、医師に診断書として作成してもらいましょう。
・さかのぼって請求する場合には、請求日以前3ヶ月以内の診断書も準備しましょう。
・現在の症状だけで請求する場合は、請求日以前3ヶ月以内の診断書だけとなります。
⑤病歴・就労状況等申立書の作成
・病歴については、医師が作成した診断書と整合を取りつつ、医師の指示やその時の症状を具体的に書
きましょう。
・就労状況については、仕事や日常生活に支障をきたしている点を具体的に記入しましょう。
・障害の部位が複数ある場合には、申立書も部位ごとに必要となります。
⑥裁定請求書の作成
・記載上の注意書きをよく読んで、漏れや不備のないよう記入しましょう。
⑦添付書類を揃える
・年金事務所で確認した必要書類を揃えましょう。
・わからないことがあれば、年金事務所に問い合わせましょう。
⑧裁定請求書の提出
・裁定請求書、診断書、申立書等すべての書類を持って、年金事務所に提出しましょう。
年金の支給が決定すれば、3ヶ月程度で年金証書(裁定通知書)が送付されてきます。不支給の場合にも通知書が送付されてきます。決定内容に不服であれば、不服申し立て(審査請求)を3ヶ月以内にすることができます。