役立つ労働社会保険の知識

~ 保険給付の手続きを忘れないために (勤労者でない人に)~

 

 労働保険・社会保険の給付手続きは、会社に勤めていれば総務担当者が行ってくれますが、一旦会社を辞めてしまうと身らが行う必要があります。ところが、意外と労働保険・社会保険に対する情報は入ってきません。保険給付を受けるためには、行政機関への手続きが必要となります。損をしないためにも、どんなことに注意をしなければならないかお教えします。

(概要を理解して頂くため、給付については支給要件等省略して記載しています。詳細については、当事務所または担当の行政機関にお問い合わせ下さい。)

■出産に関する給付(健康保険)

1)出産育児一時金

 健康保険から1児につき原則42万円が支給されます。妊娠4ヶ月(85日、12週)以後であれば、死産、人口妊娠中絶であっても支給されます。 市区長村によっては金額が異なります。

 被保険者の負担を軽減するため、出産育児一時金を保険者から医療機関に対して直接支払う直接支払制度を利用できます。

2)退職時の出産手当金

 出産のため会社を休み、会社から報酬を受けられないときは、出産の日以前42日目から、出産の日の翌日以後56日までの期間、健康保険から1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。退職時にこの出産手当金を受給している場合は、引き続き期間満了まで受給できます。

 

 

■病気やケガに対する給付(健康保険)

1)退職時の傷病手当金

 私傷病による病気やケガのため、会社を休み、会社から報酬を受けられないときは、健康保険から1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。支給期間は、支給開始日から1年6ヶ月後までです。退職時にこの出産手当金を受給している場合は、引き続き期間満了まで受給できます。 但し、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があった退職者に限ります。

 

 リハビリのために短時間でも報酬を得る場合、受給できなくなることがありますので注意しましょう。

2)高額療養費

 医療機関の窓口での支払額(自己負担分)が、一定額を超えた場合、超えた額に対して健康保険から高額療養費が支給されます。所得により額が違いますが、一般の方の場合、自己負担分が1ヶ月に80,100円を超えていれば高額療養費の支給があります。

 また、入院により支払いが高額となる場合には、事前に認定を受けて、医療機関窓口での支払いを減額することもできます。

 手続きは市区町村役場で行います。

3)療養費

 旅行中に急病やケガとなったが、近くに保険医療機関がなかったので、やむを得ず保険医療機関となっていない病院において自費で診療を受けた場合、本来現物給付されるべきであった額の現金が支給されます。海外の病院等での診療も対象となります。 

 手続きは市区町村役場で行います。

 

 

■失業に関する給付と制度(雇用保険)

1)失業給付(基本手当)

 退職者は、公共職業安定所(ハローワーク)に離職票を提示して求職を申込みすることで、60歳未満であれば退職前の賃金日額に100分の50から100分の80の範囲で定められた率を乗じた基本手当を所定日数受給することができます。

2)受給期間延長制度 

 基本手当は受給期間を超えて支給されませんが、妊娠、出産、育児、病気、ケガ、親族の介護等により30日以上就職することができない場合には、受給期間の延長を申し出ることができます。

 手続きはハローワークで行います。

3)教育訓練給付

 教育訓練の受講開始時に退職後1年以内であり、かつ雇用保険の被保険者であった期間が3年以上(初めて受給しようとするときは、当面の間、1年以上)の者で、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合、教育訓練給付が支給されます。

 支給額は、教育訓練経費20%に相当する額です。但し、10万円が上限であり、4千円を超えない場合には支給されません。

 手続きはハローワークで行います。受講開始前に支給要件を満たしているかどうかを、ハローワークにて照会を受けることをお勧めします。以下のホームページで指定講座を検索できます。

   http://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/T_K_kouza

4)就業促進給付(再就職手当、就業手当、就業促進定着手当)

 基本手当の受給資格がある者が職業に就くか、事業を開始した場合、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上で一定の要件を満たせば、手当が支給されます。

 安定した職業についた場合には、再就職手当として 支給残日数×基本手当日額×60% が支給されます。また、短期の就業等の場合には、更に残日数が45日以上であれば、就業日に対して 基本手当日額×30% が支給されます

 再就職後、6ヶ月間に支払われた賃金日額が離職前賃金より低下している場合、就業促進定着手当として差額が支給されます。但し、いずれも支給額に上限があります。

 手続きはハローワークで行います。

 

■老齢年金受給の手続き(国民年金・厚生年金保険)

1)60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金

 昭和36年4月1日以前生まれの男性及び昭和41年4月1日以前生まれの女性については、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人には、65歳よりも前に、特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
 支給開始年齢は生年月日によって異なりますので、年金事務所にお問い合わせ下さい。手続きは、勤め先の会社もしくは最後に勤めていた会社を管轄する年金事務所で行います。

2)本来の老齢厚生年金

 厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上であり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人には、65歳より老齢厚生年金と老齢基礎年金が支給されます。

 続きは住所地の年金事務所で行います。1)の特別支給の老齢厚生年金を受給していた人も、改めて手続きが必要ですが、日本年金機構から送付されてくる年金請求書を送り返すだけで済みます。

3)厚生年金基金からの年金給付

 企業年金である厚生年金基金に加入期間があれば、1)または2)の受給権が発生したら年金が支給されます。

 手続きは加入していた厚生年金基金で行います。但し、加入期間が10年未満の人、加入していた基金から脱退した人は、企業年金連合会に請求することになります。

 通常、支給開始年齢になる前に年金請求のお知らせが届くことになっていますが、住所変更をしていない場合には届きません。住所を変更される場合には、必ず変更の届けをしましょう。

4)老齢基礎年金

 国民年金の第1号被保険者だけであった人は、原則として、保険料を納めた期間と免除された期間などを合わて10年以上あれば、65歳より老齢基礎年金が支給されます。

 手続きは市区町村役場で行います。

 

 

■国民年金保険料の支払い猶予・免除制度(国民年金)

1)学生納付特例制度

 20歳になれば、国民年金の被保険者となり保険料の納付義務がありますが、学生の場合には、本人の所得が一定以下であれば保険料納付が猶予されます。10年以内であれば、猶予期間中の保険料をさかのぼって納付できます。

 手続きは市区町村役場で行います。在学する大学等の窓口によっては、手続きができる場合もあります。

2)若年者納付猶予制度

 30歳未満の被保険者で保険料を納付することが困難な場合、申請者本人と配偶者の所得の合計が一定以下であれば保険料納付が猶予されます。10年以内であれば、猶予期間中の保険料をさかのぼって納付できます。
 手続きは市区町村役場で行います。

3)保険料全額免除制度・一部納付(免除)制度

 病気、失業、経営不振などにより所得が少なく保険料を納付することが困難な場合、申請者本人、配偶者、世帯主の所得合計が一定以下であれば保険料の全額もしくは一部が免除されます。10年以内であれば、免除期間中の保険料をさかのぼって納付できます。

 手続きは市区町村役場で行います。

 

 

■海外居住経験者に対する年金給付(国民年金)

 ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、ふぃりとは社会保障協定を締結しています(平成30年8月現在)。

 これらの相手国に居住し、その国の年金制度に加入していた場合、相手国での加入期間と日本での加入期間を合算することができます。合算した期間が日本の老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、老齢年金が支給されます。また、相手国の年金受給資格期間を満たしていれば、相手国の年金も支給されます。

 相手国の年金受給手続きは、日本の年金事務所で行うことができます。社会保障協定については、以下のホームページでご確認できます。

   https://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/kyotei-gaiyou/20141125.html

 

■老齢基礎年金の受給資格期間を確保する制度(国民年金)

1)60歳から65歳までの任意加入制度

 60歳になったときに老齢基礎年金の受給資格期間(10年)に満たない場合、任意加入被保険者となることで、加入期間を65歳まで延長することができます。また、保険料納付済期間が40年に満たない場合でも、老齢基礎年金が満額になるまで加入することができます。

 手続きは市区町村役場で行います。

2)65歳から70歳までの任意加入制度

 昭和40年4月1日以前に生まれた者で、65歳になったときに老齢基礎年金の受給資格期間(10年)に満たない場合、特例任意加入被保険者となることで受給権が得られるまで加入することができます。

 手続きは市区町村役場で行います。

 

 

■障害に関する給付(労災保険、国民年金、厚生年金保険)

1)退職後の障害補償給付

 会社の在職中に労災の適用を受け、療養のための休職後に退職される場合、労災の給付を受ける権利は退職後も継続します。退職後に負傷・疾病は治ったが、障害が残るケースは当然ありえます。その障害の程度により、傷害補償年金または傷害補償一時金が労災保険から支給されます。

 手続きは労働基準監督署で行います。

2)20歳前傷病による障害基礎年金

 初診日が20歳未満である場合、障害認定日以後の20歳の誕生日の前日、あるいは20歳誕生日以後の障害認定日に障害等級に該当すれば、国民年金から障害基礎年金が支給されます。この場合、保険料の納付の有無は問われません。また、当初障害等級に該当していなくても、65歳までに障害等級に該当した場合でも障害基礎年金が支給されます。

 手続きは市区町村役場で行います。

 *1 初診日とは    : 障害の原因となった傷病に対して初めて診療を受けた日

 *2 障害認定日とは : 初診日から1年6ヶ月を経過した日又はその期間内で傷病が治った日

 

3)障害基礎年金

 初診日が国民年金の被保険者であるか又は被保険者であった60歳以上65歳未満の人は、障害認定日に障害等級に該当し保険料納付要件を満たしていれば、国民年金から障害基礎年金が支給されます。また、当初障害等級に該当していなくても、65歳までに障害等級に該当した場合でも障害基礎年金が支給されます。

 手続きは市区町村役場で行います。初診日が第3号被保険者の場合には、年金事務所となります。

 

4)障害厚生年金

 初診日が厚生年金保険の被保険者であった人は、障害認定日に障害等級に該当し保険料納付要件を満たしていれば、厚生年金保険から障害基礎年金が支給されます。また、当初障害等級に該当していなくても、65歳までに障害等級に該当した場合でも障害基礎年金が支給されます。障害等級が1級又は2級に該当すれば、国民年金から障害基礎年金も支給されます。

 手続きは、初診日に勤務していた事業所を管轄する年金事務所で行います。

 

 

■死亡に関する給付(健康保険、国民年金、厚生年金保険)

1)葬祭費

 被保険者の葬儀を行った人に、健康保険から5万円が支給されます。市区長村によっては金額が異なります。

 手続きは市区町村役場で行います。

2)遺族基礎年金

 国民年金の被保険者又は被保険者であった人が死亡し、死亡の当時、その者に生計を維持されていた子のある配偶者または子には、遺族基礎年金が支給されます。

 手続きは市区町村役場で行います。遺族基礎年金の支給対象となる遺族がいない場合、遺族に死亡一時金を支給する制度もあります。

 *3 子とは  : 18歳の誕生日前日以後の最初の3月31日までの子又は20歳未満の障害のある子

 

3)寡婦年金

 国民年金の第1号被保険者としての保険料納付期間が10年以上ある夫(婚姻期間10年以上)が、年金を受けずに死亡したとき、生計を維持されていた妻に60歳から65歳まで寡婦年金が支給されます。

 手続きは市区町村役場で行います。

 

4)遺族厚生年金

 厚生年金保険の被保険者が死亡したとき、被保険者期間に初診日とする傷病によって5年以内に死亡したとき、1級又は2級の障害厚生年金を受給できる者が死亡したとき、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者が死亡したときには、生計を維持されていた遺族に遺族厚生年金が支給されます。

 手続きは住所地の年金事務所で行います。

5)​未支給年金の請求

 年金給付の受給権者が死亡した場合において、故人には死亡した月分まで年金が支給されます。その分が支給されていない場合には、故人と生計を同じくしていた遺族は、自分の名前で未支給年金を請求できます。また、死亡前に年金給付の裁定請求していない場合でも、自分の名前でその年金を請求できます。

 故人が受給していた年金の種類などにより、請求先が異なります。

 

 

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